知らないとヤバい!飲食店の起業で9割が失敗する本当の理由

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「やりたいこと」が不安に変わるのは、あなただけじゃない

たとえば、「小さなカフェを開きたい」とか「自分の料理を誰かに食べてもらいたい」とか、ふとした瞬間に芽生える夢。そこに向けて一歩踏み出すと、最初はワクワクがいっぱいです。でも、物件の家賃を見たり、内装の見積もりが出てきたり、思ったよりお金がかかることが見えてくると…ふと、胸の奥に重たい不安がよぎる瞬間、ありませんか?

「やってみたいけど、自分にできるかな」「そもそも本当に儲かるの?」。そんな気持ちは、とても自然なものです。むしろ、本気で向き合おうとしている証拠。あなたの不安は、決して特別ではありません。起業の相談を受けていると、むしろ最初にそう感じられる人の方が、長く続けられている印象があります。

なぜ飲食業は他の業種より潰れやすいのか?

飲食店の廃業率が高いことは、よく知られています。「3年以内に7割が閉店」なんて言われ方もしますが、なぜこんなに厳しいのでしょうか?

理由の一つは、固定費の重たさ。毎月かかる家賃、人件費、水道光熱費……お店を開けているだけで、かなりのお金が出ていきます。そしてその分を回収するには、コンスタントにお客さんに来てもらわないといけない。でも、来客は天候や立地、口コミのちょっとした変化に左右されやすく、とても不安定です。

もう一つは、「仕込みが必要=労力が大きい」こと。開店前から食材の準備をし、営業後も片付けや仕込みが続く。これは他の業種に比べて明らかに“時間と体力を消耗しやすい構造”です。さらに、「自分じゃないとできない」仕事が多くなりがちで、休みも取りづらい。

つまり、売上が安定しにくいのに、固定費と労力は常にかかる。このバランスの悪さが、「飲食は難しい」と言われる最大の理由なのです。

メニューや内装に全力投球…でも経営が抜けてる

「この料理で勝負したい」「おしゃれな空間にしたい」――そうやって開業準備を進めていると、自然とメニューや内装、食器選びに力が入っていきます。インスタで流行っているカフェを参考にしたり、知り合いのデザイナーと打ち合わせしたり。そこに情熱を注ぐのは、とても素敵なことです。

でも、意外と多いのが、経営の計算が「なんとなく」になってしまっているケース。たとえば、「とりあえず月に100万円くらい売上があればいいかな」とか、「原価は安い方がいいけど、美味しさも大事だから…」といった感覚的な設計です。

これって、実はすごく危険な状態。いくら素敵な空間を作っても、1日に何人のお客さんが来て、どれくらいの客単価があれば黒字になるのか。そこを最初から具体的にシミュレーションしていないと、開業してから「なんでこんなにお金が残らないの?」と戸惑うことになります。

料理や空間づくりに集中するのは、もちろん大切。でも、その裏側で動く「お金の仕組み」をちゃんと見える化しておかないと、せっかくの情熱が空回りしてしまうかもしれません。

赤字でも続けてしまう、飲食店特有の怖さ

飲食店って、一度始めたらなかなかやめづらいんですよね。物件を借りて、内装に数百万円かけて、厨房機器を揃えて……。そこまで投資してしまうと、「すぐには引けない」「もう少し頑張れば何とかなるかも」と思ってしまいます。

しかも、お客さんがゼロということは少ないので、「今日は良かった」「たまたま今月は落ちただけ」と、赤字でも希望をつないでしまう。でも、家賃や仕入れは待ってくれないし、少しずつ手元の資金が減っていく。その感覚に気づいたときには、もう選択肢が限られていることもあります。

経営の本当に怖いところって、「ゆっくり沈んでいくこと」に気づきにくいことなんです。だからこそ、数字で冷静に見て判断する力が大切になります。情熱で始めたお店だからこそ、持続させるためには“判断の物差し”が必要なんですね。

料理より先に数字をつくろう、がんばらなくても回る店にする

料理が得意で、人と話すのが好き。だから飲食店をやりたい――これはすごく自然な動機ですし、実際にお客さんが喜んでくれる瞬間って、何にも代えがたいですよね。

でも、そこに「数字」という視点が入ると、お店の景色がガラッと変わります。たとえば、月の家賃が15万円、人件費が10万円、材料費が売上の30%で、1日平均どれだけ売上があれば黒字になるのか。そういう計算を先にしてみると、「この価格設定では赤字になる」「席数からして回転率が必要だな」といった、現実的な課題が見えてくるんです。

がんばってがんばって回していく店も素敵ですが、理想は“がんばらなくても回る設計”ができていること。体力が落ちても、誰かに任せても、仕組みで動くお店。これは、開業前から“経営者の視点”を持って考えられるかどうかにかかっています。

数字は冷たいようで、実はとても優しい道しるべです。感覚や努力だけに頼らず、「こうすればちゃんと残る」という設計があると、安心して料理に集中できるようになります。

まずは1ヶ月だけ黒字にするゲームをやってみよう

経営って言うと、なんだか難しそうに感じるかもしれません。でも、最初はもっと軽くていいんです。たとえば「もし1ヶ月だけお店を黒字にするとしたら、どんな条件が必要かな?」っていう、ちょっとしたゲーム感覚で考えてみるんです。

売上目標はいくら? 客単価は? 原価率は? 何人で回す? そういった要素をExcelでざっくり表にしてみると、「意外と人件費が重いな」とか「この価格じゃ厳しいかも」といった発見が出てきます。最初は正確じゃなくてOK。大切なのは、“数字で考える習慣”をつけることです。

この練習をしておくと、実際にお店を開いた後も、「なんか最近苦しいけど、どこが問題なんだろう?」と冷静に見直せるようになります。感情や直感に流されすぎず、経営という“地図”を持って前に進めるようになるんです。

夢を形にするために、まずは1ヶ月だけ、黒字になるストーリーを自分で描いてみてください。その小さな一歩が、長く続けられるお店づくりのはじまりになります。

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