何も思いつかない自分に焦る…でも実はそれが普通
新事業を考えなければいけないのに、全然アイデアが浮かばない。
そう感じているときって、なぜか自分だけが取り残されているような気持ちになりますよね。世の中の経営者はどんどん新しいことをやっていて、自分だけが何も出てこないように思える。焦りや不安が募るのは当然のことです。
でも、実際は「最初からスラスラとアイデアが出てくる人」なんてほとんどいません。
多くの成功者も、最初は迷いながら、手探りで考えていく中でようやく「これかもしれない」と形になっていくものです。
だからまずは、「アイデアが出ないこと=才能がない」ではないと、安心してください。焦りを少し横に置いて、発想の準備を整えるところから始めましょう。
情報が足りないと、そもそも“考える土台”ができない
アイデアが浮かばないもう一つの理由は、材料が足りていないこと。
つまり「考えようとしている土台そのもの」が整っていない状態です。料理で言えば、冷蔵庫の中に何があるのか分からないまま、何を作ろうか悩んでいるようなものです。
自社のリソース、強み、現場の課題、顧客の声、過去の失敗…こうした“情報の棚卸し”をせずに、いきなり「新しい何かを思いつこう」としても、なかなか出てきません。
土台が曖昧なままだと、どの方向に進めばいいのかも決まらず、結果として“堂々巡り”になってしまうんです。
まずは、自分たちが持っている資源や情報をしっかり整理すること。そこから、考えるための地図が少しずつ描けてきます。
流行りモノに飛びつくほど、視野が狭くなっていく
「最近は〇〇が流行ってるから、うちもやってみようか」──そんなふうに、世の中のトレンドに飛びつきたくなる気持ち、よくわかります。実際、注目されている分野に目を向けること自体は悪くありません。でも、それが“発想の出発点”になってしまうと、視野が極端に狭くなることがあるんです。
なぜなら、トレンドは「誰かがすでにやっている」ものだから。そこに後から参入しても、先行者との差別化ができず、価格競争や模倣合戦に巻き込まれるリスクが高まります。
しかも、自社の強みやリソースと合っていないトレンドに乗ると、社内にもお客さんにも「なぜ今これ?」という違和感が残り、定着しづらくなってしまいます。
大切なのは、流行を鵜呑みにするのではなく、「この流れの中で、自社らしくできることは何か?」という視点で捉え直すこと。そうすれば、トレンドも“材料の一つ”として活かせるようになります。
軸のないまま考えても、迷路からは抜け出せない
「何かいいアイデアはないか?」と考え続けているのに、なぜか堂々巡り。いくつかアイデアが出ても、どれもピンとこないし、決め手に欠ける──。そんな状態に陥ったことはありませんか?
それは、“軸”が決まっていないからです。軸とは、簡単に言えば「何のために、誰に向けて、どんな価値を届けたいのか」という、ビジネスの土台となる考え方。
この軸が曖昧なままアイデアを出しても、どれも浅くて判断基準がなくなり、「どれがいいのか」がわからなくなってしまうんです。
たとえば、自社の理念や、今まで大切にしてきたこと。顧客に一番感謝された経験や、自社らしいと感じた瞬間。そうした「過去から見える軸」を手がかりにすることで、新しい発想にも一貫性が出てきます。
そして何より、ブレない軸があると、社員やパートナーにも共感されやすく、動きやすくなる。発想は“自由”でも、土台は“明確”にしておくことが、新事業づくりの近道なんです。
アイデアは“ひらめき”じゃなくて“整理”から生まれる
多くの人が「新しい事業は天才的なひらめきから始まる」と思いがちですが、実際はそうではありません。
成功している新規事業の多くは、綿密な観察と整理の中から生まれています。つまり、思いつくというより“見えてくる”に近い感覚なんです。
たとえば、日々の業務で「なんとなく不便だな」と感じていたこと。お客さんから「これってできませんか?」と何度も聞かれていたこと。社員が繰り返し愚痴をこぼしていること。
そういった“当たり前すぎて見逃していること”に目を向けるだけで、新しい切り口が見えてくることがあります。
発想というのは、偶然や才能ではなく、地道な情報整理と現場へのまなざしから育つもの。
だからこそ、「考える前に、書き出す」「感じる前に、整理する」ことを意識するだけで、ずっと発想の角度が変わってくるんです。
まずは自社のモヤモヤを書き出すことから始めよう
「何をしたらいいのかわからない」と感じたとき、いきなり答えを出そうとするのではなく、まずは“問題の整理”から始めるのがおすすめです。
とくに効果的なのが、「最近、自社でなんとなく気持ち悪いと感じていること=モヤモヤ」を紙に書き出してみること。
たとえば、「効率化が進まない」「営業の属人化が止まらない」「顧客の反応が読めなくなってきた」など、日々の中でなんとなく引っかかっていることを3つ挙げてみてください。
この“言葉にできない違和感”が、実は新しい事業の種になることがとても多いんです。
小さなモヤモヤの中に、他社もまだ気づいていない課題が隠れていることもあります。
だからこそ、まずは「うまく言えないけど気になること」を丁寧に拾っていくこと。それが、新事業をつくるための一番最初の一歩になります。