新卒が来ない中小企業がやりがち!共感されない採用活動の落とし穴

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説明会を開いても応募ゼロ…採用の手応えがなくてつらい

せっかく資料を用意し、時間もかけて説明会を開催しても、学生の参加者が少ない、あるいはその場では好感触だったのに選考には進まない――そんな経験をしている中小企業の方も多いはずです。
採用担当者や経営者としては、「伝え方が悪かったのか?」「会社に魅力がないのか?」と自信を失ってしまうこともあるでしょう。

特に大企業と違い、母集団を集めること自体が難しい中小企業では、「まず知ってもらう」ための努力が大きな比重を占めます。
しかし、それだけに報われない結果が続くと、「うちには無理かもしれない」と諦めたくなる気持ちが出てくるのも無理はありません。

でも実は、伝える内容や方法を少し見直すだけで、反応は大きく変わることがあります。
大事なのは、“誰に”“どんな言葉で”届けているか。学生が求める情報と、会社が伝えている情報にズレがある場合、それは決して無関心ではなく“共感できなかっただけ”という可能性もあるのです。

学生が気にしているのは“年収”じゃなく“自分の未来”だった

新卒学生にとって、企業選びは人生の大きな分岐点です。とはいえ、必ずしも「給料が高い会社」や「有名な会社」に行きたいと思っているわけではありません。
むしろ、「自分がここでどう成長できるか」「どんな仕事ができるか」「どんな大人と働けるか」といった、自分の未来像に重ねやすい会社を探している学生も多いのです。

特に近年の若い世代は、“安定=大企業”という価値観だけでなく、“納得して働けること”や“居心地のよさ”といった感覚的な軸を重視する傾向があります。
SNSなどで他社のリアルな声に触れやすい今の学生たちは、「条件が良さそう」よりも「自分にもできそう」「自分を見てくれそう」と感じた会社に親近感を持ちます。

中小企業が本当に伝えるべきは、「給与水準」や「立派な制度」よりも、「うちで働いたら、こんな風に変われるかもしれない」という未来へのストーリーです。
たとえ完璧でなくても、“等身大”の会社の姿が、学生の心に響くのです。

待遇やネームバリューの話ばかりしていない?

新卒採用の場で、つい「福利厚生も整っています」「安定した業績です」といった話に重点を置いてしまうこと、ありませんか?
確かにこれらは大事な情報ですが、学生の心に届いていないと感じるなら、もしかすると“刺さる角度”がズレているのかもしれません。

学生が知りたいのは、「自分はこの会社でどんな経験ができるのか」「どんな仲間と、どんな時間を過ごすことになるのか」といった“自分ごと”として想像できる要素です。
そこに触れずに「うちはこんなに制度が整っている」「平均勤続年数は○年」と説明されても、実感が湧かないまま終わってしまうのです。

大手企業と同じ内容を、同じフォーマットで伝えても、学生には「似たような会社ばかり」としか映りません。
むしろ、中小企業だからこそ、「社員が一人ひとりに向き合ってくれる」「若手にも大きな仕事を任せてくれる」といった、自社の“らしさ”を言葉にして伝えることが大切です。

数字ではなく“人”のストーリーを語ることで、はじめて共感が生まれます。

なんとなく採った新人が辞めると、組織はじわじわ弱る

「とにかく人が欲しい」「せっかく来てくれたから」――そんな気持ちで採用した新卒社員が、入社後すぐに辞めてしまう。
そんな経験をした企業も少なくないのではないでしょうか。

短期間での離職は、表面的には「また募集すればいい」で済んでしまうかもしれません。
でも実際には、先輩社員が時間をかけて教えた労力やチーム内の信頼関係が崩れ、社内のモチベーション低下を引き起こすこともあります。

また、学生側も「中小企業はすぐ辞める人が多い」といった印象を持ってしまえば、企業の信頼性にも影響します。

重要なのは、入社後の“定着”まで見据えた採用です。
そのためには、「この会社は、自分のことを理解してくれている」「ちゃんと期待してくれている」と感じてもらえる選考プロセスが必要です。

数よりも、相性。
自社に合う人を丁寧に見つけることが、結局は最も効率的で、持続的な採用につながります。

「この会社で働きたい」と感じてもらうには何が必要?

学生に「ここで働きたい」と思ってもらうために必要なのは、立派な会社案内や美しい採用動画ではありません。
本当に大事なのは、「ここにいる人たちと一緒に働きたい」と思えるような、リアルな人の姿です。

たとえば、若手社員が「なぜこの会社を選んだのか」「どんな失敗や成長をしてきたのか」を素直に語る記事や動画は、学生の共感を呼びます。
また、経営者が自分の言葉で会社の未来や文化を語る場面も、学生にとっては“会社の本音”が垣間見える貴重な情報源になります。

中小企業の魅力は、関係の近さにあります。
その“近さ”が伝わるように、どれだけ飾らず、人の温度を感じる採用情報を発信できるかが、勝負の分かれ目になります。

「ここなら、自分も大切にされそう」「一緒に頑張れそう」――
そう思ってもらえるきっかけは、小さな言葉のやり取りや、1本の投稿から生まれるのです。

まずは小さな共感をつくる投稿から始めてみよう

新卒採用で苦戦している中小企業にとって、大事なのは「何をすれば劇的に変わるか?」ではなく、「どんな小さな共感を日々積み重ねるか?」です。

たとえば今日からできることとして、
・1人の若手社員の1日を紹介するSNS投稿
・「社長のちょっとした一言」を採用サイトに追加
・選考に来てくれた学生への感謝を丁寧に伝えるメール文面の見直し

こうした一つひとつの行動が、やがて“この会社にしかない雰囲気”として伝わっていきます。

学生の心に残るのは、完璧な企業ではなく、ちゃんと向き合ってくれた企業です。
まずは、小さな誠実さと共感を重ねる発信を、今日からひとつ始めてみませんか?

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